せん妄
病気の概要や特徴
せん妄ってどんな病気?
せん妄状態を分かりやすく言うと、何らかの原因で脳の働きが鈍り、「寝ぼけ」のような状態が続いているものと考えると理解しやすくなります。
半分現実、半分夢の中にいるような状態であり、現実と夢が混ざっているような言動を多く認めます。ぼやけた言動だけでなく、場合によっては幻覚・妄想・興奮状態となり、大声で騒いだり、暴れたりすることもあります。
本人にその間の記憶はほとんどないことが多く、専門的には「意識障害」であり、認知症やうつ病、統合失調症などとは全く別のものです。基本的には原因が解決すれば治るのですが、稀に原因が解決しない場合は何カ月も続くことがあります。
せん妄のサインや症状
せん妄の兆候
- 動きが多くなる。落ち着かない。
- 会話の反応が鈍い。ボーッとしている。
- 時間や場所が分からなくなっていたり、自分の置かれている状況が分からない。
- 記憶が抜けていたり、曖昧。判らないのをごまかす。
- つじつまの合わないことを言う。訴えが多く、一貫しない。
- 目つきが険しい。
- 入院中でも家に帰ろうとしたり、仕事に行こうとする。
- 人、虫、火などが見える。空中をつかむ動作、シーツや布団の上を這うような動作。(幻視を疑う)
特に夕方から夜間に不穏・興奮・落ち着かない状態となることが多く、日中はボーッとしていることが多い傾向があります。
せん妄の原因
主なものとして下記のようなものがあります。
- 脳疾患(脳梗塞、認知症、脳腫瘍)
- 全身状態が悪い(低栄養、低血圧、呼吸不全、脱水、発熱)
- 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症など)
- 肝臓障害
- 薬剤性(麻薬、抗不安薬、睡眠薬、抗コリン薬、抗パーキンソン病薬、ステロイド剤など)
- 昼夜逆転(痛み・頻尿・周りの音などによる睡眠妨害、薬剤による昼間の眠気)
- アルコール離脱(毎日飲酒している人が入院などで飲酒を止めると2~3日後に出現)