軽度認知障害(MCI)
病気の概要や特徴
軽度認知障害(MCI)ってどんな病気?
今は認知症まではいかない状態でも、数年後には認知症になる可能性のある、いわゆる認知症予備軍の数が年々増加しています。
このような状態を「軽度認知障害」と言います。
軽度認知障害は認知症と健常の中間ぐらいの状態でそのまま放置しておくと、5年以内に約50%の確率で認知症を発症すると言われています。
しかし、早期に発見をして対策をすれば、進行を遅らせられる可能性はゼロではありません。
発症の原因
発症のメカニズムはアルツハイマー型認知症と同様、脳内に「アミロイドβ」などの物質が過剰に蓄積することに考えられています。
ただ、予防法や治療法など詳しいことはまだ解明されていません。
軽度認知障害(MCI)のサインや症状
症状もアルツハイマー型認知症と同じように、もの忘れをはじめとする「記憶障害」、物事を順序立てて行えなくなる「実行機能障害」などがみられます。
認知症との大きな違いは、自立した生活を送れるということです。
例えば、人の名前が思い出せなかったり、同じ質問を何度も繰り返したりすることは加齢によっても起こり得ます。
これらが頻繁に起こり、物忘れしたことすら忘れるような状況になってしまうと生活全般が立ち行かなくなり、介護が必要になっていきます。
しかし、軽度認知症の患者は物忘れをしている自覚があるため、大切な約束はカレンダーにメモしたり、冷蔵庫に注意書きを貼ったりして、自ら対策をすることができるのです。
食事やお風呂、トイレ、着替えといった生活の基本となる動作は、自立した生活をするための必須条件のようなもの。認知症を発症すると、このような動作が次第にできなくなっていきますが、軽度認知障害の場合は無理なく行えることがほとんどです。
軽度認知障害(MCI)の代表的な治療法
早期発見・早期治療が効果的
軽度認知障害への対策は、早期であればあるほど効果的。
認知症の前段階であるこの状態で対策を行えば、アルツハイマー型認知症の発症を抑えられる可能性が高まります。
そのためには本人はもちろん、家族が軽度認知障害に関する知識を持つようにしましょう。家族に少しでも異変がある場合は、できるだけ早い段階で医師の診断を受けてください。
「まさか」ではなく、「もしかして」という意識を持つことが大切なのです。
最終的には医師による問診や認知機能検査、脳画像検査などの結果から、総合的に判断されます。その診断基準は、「認知機能レベルの低下がある」「認知領域での障害が1つ以上ある」「生活機能が自立している」「認知症とはいえない」の4つです。
また、医師による診断の根拠となる検査には、いくつか種類があります。日本では、問診や計算、簡単な実技を行う「長谷川式スケール」や「ミニ・メンタルステート試験(MMSE)」が、一般的な認知機能検査として実施されます。
そのほか、尿検査や血液検査、胸部X線写真に代表される一般検査、脳の状態を調べるCTなどの脳画像検査、アルツハイマー型認知症との関連を調べる脳脊髄液検査などが行われます。